近年診療報酬の削減が日本の医療制度の大きな課題になっています。
これは高齢化社会が進むにつれて医療施設利用者が激増していることが関連しているでしょう。
多くの高齢者は何らかの病気を抱えており入院が長期化することが多く、それに伴って医療保険利用者も増え続け医療保険団体の負担も増えているのが現状です。
医療保険負担を減らすための一つの手段として診療報酬の削減案が浮上し、実際に法令も改正されています。
診療報酬の削減のために実施された法案が、看護師の配置人員を減らす法案です。
看護師の負担が増えることも懸念されますが、一方的に増えるだけではありません。
というのも、一般病棟では患者の病態のレベルに差が大きいという現実もあります。
重症の患者ほど手厚い看護が必要ですが、中には軽症であるにも関わらず必要以上に手厚い看護を受けて高い診療報酬が発生している面もあります。
このような場合、当然患者の自己負担額も高くなるのです。
看護師の配置人員が減ると手厚さに限界ができ軽症者に余分な看護ができなくなるでしょう。
そうすれば診療報酬も低くなり、患者の自己負担額も軽減します。
逆に重症者は必要な看護が十分に受けられなくなる可能性がありますが、この問題を現場だけで解決するのは困難です。
そこで看護必要度を診療報酬に反映させる動きもあります。
看護必要度が高い患者を受け入れる病棟では、看護師の配置を多くして診療報酬も高くなり、軽症者を受け入れる病棟では看護師の配置を減らして診療報酬を抑えるという考え方です。
今後ますます診療報酬と病棟の運営形態が複雑になる傾向があります。