医療費縮減の財政政策によって、診療報酬制度の点数規定が変更されました。
そのことにより、医療機関が従来通りの診療で安定した収益を上げることは容易ではなくなり、業界では様々な対策に追われています。
緊急時に備えて入院病棟に一定数の空きベッドを準備することは必要ですが、空きベッドが多いほど経営を圧迫します。
また、行政機関の方針により、病床数を減らす政策も採られています。
そのため、入院病棟を抱える各医療機関は、空きベッドを減らすことに力を注いでいます。
民間の医療機関だけでなく、公立病院でさえ採算を考えて空きベッドに関する経営方針を修正せざるを得ないのが現状なのです。
その一方で、診療報酬を上げるために、看護体制を変える医療機関も増えています。
看護体制とは、看護師1人当たりの患者数により表されるもので、看護師1人当たりの患者数が少ないほど、看護師の負担が少なく患者に手厚い看護が施されるといえます。
看護師1人当たりの患者数が少ないほど、診療報酬は高くなります。
看護師1人に患者15人の看護体制では、一般病棟入院基本料が1日につき960点しかありませんが、看護師1人に患者7人の看護体制なら1591点もの一般病棟入院基本料を得られるのです。
このため、診療報酬を上げるために看護師を増やす医療機関も少なくありません。
結果として医療業界全体の医療費がかさむことにはなるものの、看護師が増えて看護が手厚くなることは好ましいといえます。